今後も優待廃止は増える?JT、オリックス、マルハニチロは序の口

株価 世の中の動向
JT、オリックス、マルハニチロが株主優待廃止
株主優待は株主平等の原則に抵触?
東証再編で「コーポレートガバナンス・コード」順守が浸透
東証再編で上場基準の株主数が引き下げられた影響

JT、オリックス、マルハニチロが株主優待廃止

今年2月、JTが今期末で株主優待の廃止を発表しました。株主への利益還元を配当金に集約するとしています。

JTは、株主への利益配分にきわめて積極的な会社です。配当方針として、配当性向の目安を75%とすると公表しています。これはかなり高い目標値ですが、過去3年、配当性向は73~88%と高い水準で推移しています。

そして、5月にはオリックスも2023年度で株主優待の廃止を発表しました。オリックスの株主優待は有名で、2014年のカタログギフト優待開始前の株主数が4.5万人だったのに対し、2022年は約82万人です。

オリックス、株主優待を廃止 24年3月末が最終(ITmedia)

株主優待は、企業側にとってそれなりの時間とコストがかかります。オリックスのようなカタログギフトの場合、株主専用のカタログを印刷し、株主に郵送する。株主がどの商品を選ぶかわからないため、ある程度の商品を確保が必要になり、希望の商品を企業側が送料を負担して株主に送る・・・
これを82万人分実施するので、企業側が負担する時間とコストは相当なものです。余計な業務とコストを削減し、本業にリソースを注ぎ込ませるのは合理的だと思います。

時を同じくして、マルハニチロも株主優待廃止を決めました

剰余金の配当(増配)、自己株式取得に関わる事項および株主優待制度の廃止に関するお知らせ(マルハニチロ)

こちらは優待廃止と同時に今年度の15円増配を発表しています。

株主優待は株主平等の原則に抵触?

株主の平等性の観点からも今後も、配当金で一律に還元する事を選択する企業や、株主優待を廃止または縮小させる傾向が強いのではないかと思います

また、外国人投資家、機関投資家には株主優待の恩恵は殆どありません。
以下はオリックスの株主優待ですが、ふるさと優待は100株以上という条件で、
100株でも10,000株でも内容は変わりません。

オリックス優待

東証再編で「コーポレートガバナンス・コード」順守が浸透

東証3市場(プライム・スタンダード・グロース)とも上場基準にコーポレートガバナンス・コードの順守が含まれ、ガバナンス・コードの第1章に「株主の権利・平等性の確保」に規定されています。「株主を保有株数に応じて平等に取り扱う」原則はその基本原則なので、順守・是正できないと上場廃止ということもあり得ます。

東証再編で上場基準の株主数が引き下げられた影響

東証再編に伴い、上場に必要な株主数が緩和され、東証一部相当のプライム市場は800人(東証一部は2,000人)と大きく緩和されました。株主優待は個人株主を集める目的も含まれたと思いますのが、個人株主数が少なくて良いのであれば、優待廃止の流れも進む可能性があります。

管理人も国内個別株中心だった頃は、優待目当てに株を保有した時期がありました。
ある会社では株主総会が終わった後に株主限定ライブが行われたり、別の会社では株主限定のテーマパーク入場券が届いたり、楽しいものでした。

しかし、本当の株主還元とは、企業価値≒株価を上げて株主にリターンを返すことなのかなと思います。少なくともクオカードとか、会社と何の関係もないものを優待にするぐらいなら、その分を配当金の原資にして配当性向を上げてもらった方がいいですね。

したがって、個人株主が多く、手間のかかる株主優待を実施する上場企業が、今後どのような方針を採るか注目しています。例えば、直近2年間で株主数が2倍になった「トリドールHD」辺りは、株主優待にかかわる業務が増えていると想定されますが、同じような企業がどう対応するか見守りたいと思います。

個人的には、単元株制度を廃止して欲しいですね。優待廃止とともに廃止できれば、個人投資家が保有可能だと思います

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