気が付いたら、つみたてNISA商品数がどんどん増えていた

つみたてNISA 資産形成

最近、つみたてNISAを始めようとした知人から、「何を選んでよいかわからない」と連絡がありました。

以前に「全世界株式型のインデックスファンドを選べばよいと思う」と話していたのですが、よく聞くと「全世界株式型も種類が多すぎてわからない」ということでした。

そこで、つみたてNISAのファンド数がどれだけあるのか気になって調べました。

つみたてNISA登録本数は214本

「つみたてNISA」の対象となる商品は、金融庁が定めた一定の条件を満たす「投資信託」と「ETF」のみで、
2022年8月5日時点では、「インデックス型投資信託」が184本、「アクティブ型投資信託」23本、「ETF(上場株式投資信託)」7本の計214本が対象商品に選ばれています。

つみたてNISA登録インデックスファンド(指数別)

●株式型
<国内>
・TOPIX(13本)
・日経平均株価(20本)
・JPX日経インデックス400(5本)
<全世界>
・MSCI ACWI Index(10本)
・FTSE Global All Cap Index(3本)
・複数指数(4本)
<先進国>
・MSCI World Index(MSCI-KOKUSAI Index)(18本)
・FTSE Developed All Cap Index(1本)
<米国>
・S&P500(10本)
・CRSP U.S. Total Market Index(2本)
<新興国>
・MSCI Emerging Markets Index(10本)
・FTSE Emerging Index(1本)
・FTSE RAFI Emerging Index(1本)

●バランス型
<国内>
・2指数(日本株・Jリート)(2本)
・3指数(2本)
<世界>
・2指数(5本)
・4指数(15本)
・5指数(2本)
・6指数(10本)
・7指数(7本)
・8指数(23本)
<ターゲットイヤー>
・4指数(6本)
・6指数(7本)
・8指数(7本)

こんなに沢山存在します。

上記214本は、あくまで『登録されている全本数』のことで、証券会社によっては購入できないファンドも存在します。

しかし、疑問が・・・

「つみたてNISA創設時に最大何本までか決めていなかったのでしょうか?」

「運用会社ごとに何本、連動を目指す指数ごとに何本といった決めは無かったのでしょうか?」

つみたてNISA登録基準

つみたてNISA創設時点前は、インデックスファンドに関しては50本程度を想定していたそうです。

ところが、金融庁の基準を満たすインデックスファンドは50本に届かず、インデックスファンドに関しては、一定の条件を満たしてさえいれば、過去の実績が全くない「新しく作った投資信託」を認めることになりました。

その結果、各投資信託会社はインデックスファンドを中心に、つみたてNISA用の投資信託を次々に新規設定し、184本ものインデックスファンドが対象となりました。

一方、アクティブファンドについては、運用が開始されてから5年以上が経過していること、信託期間中3分の2以上で資金流入超であることなど条件が設定されています。
当ブログでも取り上げた低コストのアクティブファンド「SOMPO123先進国株式」は、信託報酬が約0.077%でありながら、つみたてNISA対象外です。

以下につみたてNISA対象の投資信託について、基準を記載します。

つみたてNISA対象の投資信託 ※SBI証券より

商品 運用方針 株価指数などに連動することを目指す(インデックス型) 指数を上回る成績を目指す(アクティブ型)
運用資産 国内資産のみ 海外資産 国内資産のみ 海外資産
運用対象 指定インデックス※3に連動するもののうち、

主な投資対象が以下のいずれかにあてはまるもの
・株式のみ※4
・株式+債券・株式+REIT・株式+債券+REIT
主な投資対象が以下のいずれかにあてはまるもの

・株式のみ
・株式+債券・株式+REIT
・株式+債券+REIT
コスト 買付
手数料
なし
売却・解約手数料 なし
信託報酬 0.5%以下 0.75%以下 1.0%以下 1.5%以下
その他条件 なし ・運用期間が5年以上経過
・純資産額が50億円以上
・運用期間中の3分の2の期間で資金流入している

つみたてNISAの本数が多すぎない?

では、つみたてNISAの本数が今より増えたほうが、投資信託がより選びやすいでしょうか?

・・・そんなことはないと思います。

ただ、長期積立で資産形成を行う前提でいえば、これ以上の信託報酬の値下げは難しくなっているように感じるので、もう商品数は十分な気がします。

そもそも、同じ指数でなぜこれだけの本数が必要なのでしょうか?

例えば、全世界型のMSCI ACWI Index連動型ファンドは10本組み込まれています。

株式型(全世界)MSCI ACWI Index
過去の騰落率 信託報酬 純資産額(百万) 主な販売会社
1年 3年 5年
◆eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
8.23% 55.77% 0.1144%以内
654,667
SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
8.46% 57.29 0.1144%以内
167,680
SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券
Smart-i Select全世界株式インデックス
0.1144%
175
SBI証券、りそな銀行、埼玉りそな銀行
Smart-i Select全世界株式インデックス(除く日本)
0.1144%
162
SBI証券、りそな銀行、埼玉りそな銀行
◆たわらノーロード 全世界株式
8.14% 55.25% 0.132%以内
2,851
SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券
野村つみたて外国株投信
8.41% 57.09% 0.209%
64,773
SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券
つみたて全世界株式  (三菱UFJ国際)
8.05% 0.22%
604
SBI証券、松井証券、楽天証券
三井住友・DCつみたてNISA・全海外株インデックスファンド
8.32% 56.32% 77.38% 0.275%
114,073
SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券
全世界株式インデックス・ファンド
7.9% 54.5% 0.528%
9,268
SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券
eMAXIS 全世界株式インデックス
7.87% 54.78 75.31% 0.66%以内
21,316
SBI証券、松井証券、マネックス証券、楽天証券

10本のファンドがありますが、選ぶ基準は信託報酬(できれば実質コストも含めたコスト)、純資産額、騰落率をチェックするとある候補は2~3本に絞ることができます。

上記から判断すると、MSCI ACWI連動のインデックスファンドは、「eMAXIS Slim 全世界株式」と「eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)」の何れかが最適解になるでしょう。

S&P500連動のインデックスも同様の観点であれば、2,3のファンドしか最適解が残らないはずです。

ただ、投資初心者の方が、色々あって分かりにくくて、結果何もしないということは避けたいです・・・今後の世代のために。

つみたてNISAは今のところ「本数制限」がないため、今後もつみたてNISA用のファンドは増えていくと思います。
何となくつみたてNISAの最初の志が歪められた感もあるのですが、一度ゆるめた基準を戻すのは難しいと思います。

ある本数以上になったときに、年数が経過しても純資産が少ないファンドは対象除外にするのはあったほうが良いと思います。

誰のための制度か?つみたてNISA拡大の議論が行われていますが、分かりやすくすることも併せて進めてほしいものです。

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